糖質は人間には欠かせないエネルギーの源(みなもと)。しかし現代人は糖質を摂りすぎています。ファストフードや外食の利用が増えたり、家庭の食でも肉食が増えました。
そのため、食の欧米化に伴い肥満や糖尿病などにかかる人が増加。近年では、小学生の肥満児も問題に。
そこで注目を集めているのが「糖質制限ダイエット」。若者を中心に主食を抜く現象が起こり、お米の消費量も減りつつあります。
確かに糖質制限ダイエットをすることで、体質改善につながります。ただし、誤ったやり方をしてしまうと、身体に不調が起こるかもしれません。
そこで今回は糖質制限のメカニズムから糖質制限で起こる頭痛・吐き気の原因、その対策・改善についてまとめてみましたのでご覧ください。
〜もくじ〜
そもそも糖質を摂るとどうなるの?

糖質=ブドウ糖(白米や砂糖など)を摂ると、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高まるのをご存知ですか?
この血糖値があがると、膵臓からインスリンという血糖値を下げるホルモンが分泌されます。
ブドウ糖は生きていくためのエネルギーとして利用されて、余ったブドウ糖は肝臓や筋肉でグリコーゲンとして貯蔵。
このためているブドウ糖は運動時などの体力のエネルギーとして使われたり、空腹時に使われたりしています。
糖質を摂りすぎるとこの中性脂肪がどんどん溜まって・・・気がついたら糖尿病や肥満などの生活習慣病にかかってた。なんてことに!
じゃあ、なんで糖質って必要なの?
そもそも糖質と炭水化物ってイコールだと思ってませんか?ほぼイコールなのですが・・・炭水化物=糖質+食物繊維ということなのです。
具体的に主に糖質が多い食品は、白米・パン・麺類・砂糖が含まれる食品(洋菓子・和菓子など)・果物・イモ類など。
実は「白米は糖質の塊。」と考えられていますが、砂糖以外は糖質以外にもたんぱく質やビタミン・ミネラルも含まれています。砂糖は糖質の塊という認識で大丈夫です(笑)
冒頭でもお伝えしましたが、糖質はエネルギー源。脳を動かすのもエネルギーがいる。呼吸をするのもエネルギーがいる。心臓を動かすのもエネルギーがいる。
生きていくために必要なエネルギーの6割は糖質が担っています。ちなみにその他の4割はたんぱく質と脂質。
この3つ(糖質・脂質・たんぱく質)をあわせてエネルギーの三大栄養素といいわれているのはご存知でしょうか?特に脳で使用するエネルギーは三大栄養素のうち糖質のみなのです。
糖質制限っていいものじゃないの!?なんで頭痛や吐き気が起こるの?

では、具体的に糖質を過度に制限してしまうと、なぜ頭痛や吐き気が起こるのでしょうか?いくつか考えられる原因がございますので、一つずつ見ていきましょう。
なにもかも制限しすぎて足りない!?
では、復習しましょう。エネルギー源の栄養素は「炭水化物+脂質+たんぱく質」。その割合は
炭水化物 :50~60%
脂質 :20~25%
たんぱく質:15~20%
そして、炭水化物の構成は「糖質+食物繊維」。しかし、食物繊維はカロリー0なので、糖質がエネルギー源です。
ということは、糖質の摂取が少なくなる=その分全体のエネルギー量も減少します。
糖質で減った分のエネルギーをたんぱく質と脂質で補うように気をつけなければ、活動するためのエネルギー量は減ってしまいます。
エネルギーだけじゃなくて、ビタミン・ミネラルの不足にも・・・。
砂糖は「糖質の塊」ということをお伝えしましたよね。なので、和菓子や洋菓子など砂糖を多く使う食品を制限することがおすすめです。
白米やイモ類なども確かに糖質が多い食品なのですが、ビタミン・ミネラル・食物繊維も含まれていますので、過剰に減らしすぎると栄養不足になってしまいます。
特にビタミンB群は、神経に関するビタミン。なので、ビタミンB群が不足すると頭痛などの不調につながるのです。
恐ろしい低血糖の魔の手
低血糖とは、血糖が正常な変動幅(約70~120㎎/㎗)を超えて低い方に傾いた状態。それによって、症状が現れた時に低血糖といいます。
糖質を過度に制限すると血液中の血糖値の濃度が下がりすぎて、以下の現象が起こると考えられています。
低血糖の症状の現れ方には、自律神経が強くはたらくものと中枢神経症状が強くはたらくものがあります。
血糖値が急激に下がる時⇒自律神経が強くはたらく。
空腹・発汗・震え・不安・動悸・唇乾燥などの症状が起こる可能性がある。自律神経は主にインスリン抗体ホルモン(血糖値を上げるホルモン)の作用によるものです。
血糖値が緩やかに下がる⇒中枢神経症状が強くはたらく
意識の混乱・おかしな行動・集中力の散漫・眠気・発語困難・頭痛・けいれん・昏睡などの症状が起こる可能性がある。
その他にも様々な原因が!
・ストレスによるもの
・鉄分不足による貧血
・女性ホルモンの乱れ
などが原因になります。
糖質制限には専門家による賛否の声がある

以前まで、糖質(ブドウ糖)は脳の唯一のエネルギー源といわれてきました。そのため糖質は適量は必ず必要!と考えられてきたのです。
しかし、近年では脳のエネルギー源は体内脂肪を分解することでできるケトン体を活用できるということが発見されました。
そのため糖質を全く摂取しなくても、大丈夫だ!という専門家の意見がでてきました。
一方でケトン体の安全性についてまだはっきりとわかっていないため、過度な糖質制限を反対する声もあります。
また、過度な糖質制限は死亡率が上がるという声も少なくはありません。
糖質制限はやりたいけど、健康でいたい。
ひとことで、糖質制限のポイントをいうと「極端な糖質の制限はしない!」
糖質を減らした分、たんぱく質とお野菜でしっかり補うことが大事。糖質制限といえば、主食を減らすイメージですよね?
主食にはもちろん糖質が含まれていますが、食物繊維が含まれていることも忘れてはいけせん。食物繊維は糖質の吸収を穏やかにするので、血糖値の急上昇を防ぐことができます。
だから、安易に糖質を抜けばいいということではないのです。例えば食物繊維の多い、主食にシフトするのも糖質制限のひとつの方法。
例えば白米より雑穀や玄米、白いパンより全粒粉パンなど。糖質制限することで不足する食物繊維を補うために、緑黄色野菜やキノコ類、海藻類をしっかりと摂取しましょう。
糖質を減らすには、主食からではなく、砂糖の多い嗜好品(和菓子や洋菓子など)から減らしてはみませんか?
実際に低血糖で頭痛やめまいが起こった時はもう手遅れなの?

低血糖で頭痛が起きた場合、頭痛薬を飲んでも効果はありません。まずは、低血糖を改善するために糖分を摂ることが大事です。
しかし、急激に食生活を変えると胃や腸に負担がかかって、身体が受けつけないことがあります。まずは、はちみつやメープルシロップなど精製されていない糖分を摂取しましょう。
精製されていない糖分は血糖値を穏やかに上昇させるうえ、ミネラルを多く含んでいるのでおすすめ。
外出先ではちみつやメープルシロップが摂りづらいという方は、薬局などにブドウ糖が売っていますので、常備しておくといいと思います。
本日のまとめ
過度な糖質制限ではエネルギー不足や栄養不足・低血糖などで、吐き気や頭痛が起こる可能性があります。過度な糖質制限はさけ、制限した分はたんぱく質や野菜などで補いましょう。
正しい糖質制限で、ダイエットしましょう。