ダイエットを始めるなら「まずは糖質制限から」と考える人も多いのではないでしょうか。糖質制限ダイエットは、正しいやり方で行うと効率的に脂肪を燃焼させることができます。
しかし間違ったやり方で行うと、思うように痩せられないばかりか不調を起こす場合があるのです。
私は管理栄養士として日頃から肥満やダイエットなどに関する栄養指導を行っていますが、糖質制限についての間違った認識はどうにかならないものかと危惧しています。
ただ食べなければいいというものではないのです。今回は、糖質制限の危険性や失敗しないためのアドバイスについてまとめてみました。
〜もくじ〜
糖質制限とは

そもそも糖質制限とは、血糖値の急上昇抑制とインスリンの分泌を抑制し中性脂肪を減らすというもの。もともとは糖尿病の食事療法として考えられました。
正しい方法で行えば、血糖値がさがり、さらに中性脂肪が減り、体質改善が期待できます。
しかし、糖質制限ダイエットの正しい方法を理解せず誤った方法で行うと、様々な症状が現れてくる可能性があります。
起こるとまずい症状をチェック

糖質制限を行って何か不調がおこるということは、「赤信号のサイン」です!糖質制限中の方は、以下の不調が起こっていないか確認してみてください。
便秘になる
糖質制限で控えるべき食品は、ごはん・パン・麺などの主食・嗜好品(洋菓子・和菓子など)、糖質の多い野菜(かぼちゃ・イモ類など)・果物です。
糖質の多い野菜は食べ過ぎていない限り制限の必要はありませんが、なるべく摂らないように気をつけている人もいるでしょう。
精白米お茶碗1杯分の食物繊維量は約0.5g。それが1日3回なので、約1.5gの食物繊維が不足します。これはキャベツで換算すると、約2枚分の量です。
現代人は1日の野菜の摂取量350gに達していない人がほとんどなので、これに加えて主食を減らすと、ますます食物繊維が不足し便秘になってしまうというわけです。
若者の間では主食を控えて嗜好品は食べる行為(例えば、ごはんは太るからお菓子をごはんの代わりに食べるなど)がよく見受けられますが、これは全くおすすめできません。
食物繊維は腸内の善玉菌のエサになって腸内環境を整える役割があり、規則正しい排泄には欠かせない要素です。
そのため、食物繊維が不足すると、腸内の善玉菌が減少して腸内環境が乱れ悪玉菌の増殖を促してしまいます。
便秘にならない秘訣とは?
主食を控える事による便秘を防ぐためには、食物繊維を多く含むお野菜ときのこ類、海藻などを積極的に摂取しましょう。
さらに味噌や納豆、キムチなどの発酵食品を積極的に摂るのがおすすめです。便秘になってしまうと、身体の中の悪いものが排泄できなくなってしまいます。
そのため、ダイエットをしているはずなのに反対に体重が増えてしまうということもあるのです。便秘は「赤信号サイン」の一つだということを忘れないでくださいね。
身体が冷えやすくなる
過度の糖質制限は、身体を冷えやすくします。なぜかというと、糖質は体内のエネルギー源として身体の熱を作り出す働きがあるからです。
さらに、白米などには、糖質・食物繊維のほか、タンパク質やその他のビタミン・ミネラルなども含まれています。
それらも糖質と一緒にカットされてしまうため、筋肉量や基礎代謝が落ち、ついには身体が冷えやすくなってしまいます。
糖質制限による冷えの予防としては、過度な糖質制限を行わないこと。合わせて、筋肉の材料となるタンパク質(肉・魚など)をしっかり取ることです!
そうすれば、代謝があがり、脂肪も燃えやすくなるでしょう。
冷えやすくならないようにするために
冷えの対策として、身体を温める食材をしっかり摂りましょう。女性は筋肉量がもともと男性よりも少ないので、冷え性になりやすいです。
身体を温める食材の特徴として、色は赤・黒・オレンジのものが多く、冬が旬、寒い地方で産出、発酵しているもの、利尿作用の高いもの、塩辛いもの、米が原料のお酒などがあげられます。
例)
食材)ねぎ・人参・かぼちゃ・イモ類・豆類
調味料)塩・味噌・醤油
飲み物)ほうじちゃ・生姜紅茶・ココア・日本酒など
身体を暖める野菜には糖質が多く含まれる野菜が多いのですが、食べ過ぎでなければ糖質制限の効果が薄まることはないでしょう。
反対に身体を冷やす食材の特徴として、色は青・白・緑のものが多く、夏が旬、暖かい地方で産出、不発酵のもの、酸っぱいもの、麦が原料のお酒などがあげられます。
例)
食材)きゅうり・トマト・なす・ほうれん草・オクラ・キャベツ
調味料)砂糖・酢・ドレッシング・化学調味料
飲み物)コーヒー・緑茶・ビール・ウイスキーなど
ぜひ日頃のメニューの参考にしてみてください。
頭痛やめまいが起こる
糖質だけでなく、全体の食事量を過度に減らしたり必要な栄養素までカットしたりすることで、頭痛やめまいが起こる可能性があります。
頭痛の原因の一つは、ビタミンB群不足があげられます。
ビタミンB群が不足すると円滑な代謝活動が行えなくなり、その代償として頭痛が生じることがあるのです。また、めまいの原因は身体のエネルギー不足が考えられます。
エネルギー源は糖質・脂質・たんぱく質の3つで構成されており、その中でも糖質は約6割を占めています。
ですから糖質をカットするならば、その他のタンパク質や脂質でカロリーを補わなければめまいに繋がってしまうということです。
ただ単に糖質制限することが、いかに危険かということがわかりますよね。
頭痛やめまい対策にはビタミンB群を!
エネルギー不足とビタミン不足にならないように、たんぱく質・野菜・キノコ類・海藻類をしっかり摂取しましょう。特にビタミンB群は意識して摂取してください。
ビタミンB群が多い食品として、レバー・豚肉・鶏肉・うなぎ・大豆製品・パプリカなどがあげられます。意識的に摂取するだけで、気持ちの面でも変わってきますよ。
あなどれない!糖質の中毒性
糖質には中毒性があります。特に砂糖などは血糖値の急上昇・急降下の現象により、食べれば食べるほどほしくなるという依存性があるのです。
糖質への依存度が高かった人ほど食べられないストレスを感じ、それが頭痛やめまいの原因につながるといわれています。
【要注意】糖質制限で悪化する可能性のある病気

下記の病気にあてはまる方は、糖質制限をすると病気が重篤化する恐れがあるため注意が必要です。
肝硬変・腎疾患・活動性疾患・長鎖脂肪酸代謝異常
上記の病気以外にも、すでに糖尿病治療中で経口血糖値降下薬を服用している人や、インスリン注射をしている人の場合は気をつけてください。
糖質制限ダイエットによって低血糖発作を引き起こす場合がありますので、必ず医師に相談してから糖質制限を始めましょう。
まとめ
身体の不調は身体が悲鳴を上げているサインです!糖質制限を行っていて便秘・冷え・頭痛・めまいなどの不調が起こったら、糖質制限をゆるめつつ、今回ご紹介した対策を行ってみてくださいね。